めだかビオトープ入門!睡蓮鉢やプランター等でインテリアやガーデニングとしても楽しいめだかの飼い方

ビオトープという言葉を聞いたことがあるでしょうか。簡単に言うと、自然状態で生き物が生きている・生息している空間のことを言い、そんな空間を人工的に作り出すことを楽しむ人が増えています。睡蓮鉢や池でめだかや金魚等を飼うこともビオトープです。
今回は、ペットの暮らし方の一つにもなるビオトープついて紹介します。ビオトープの魅力やこれから始めたい初心者さんが気になるQ&Aも掲載しました!ペットの魚やエビ等の飼い方として、水槽できっちり環境を管理するのも良いですが、ビオトープもおすすめですよ。自分の手で作り出した自然の中で、生き物や植物がいきいきと暮らす姿を眺められるのでやりがいがあります。

ビオトープとは
ビオトープという言葉は、ギリシャ語の「bio(生物、命)」と「topos(場所)」の合成語です。自然と同じままの状態で生き物が生息している空間を意味しています。自然保護の在り方を示すドイツ生まれの概念で、環境保全や野生動物の保護を目的として森林や池等を自然のままにあるよう整備したのが始まりです。
今は、ビオトープと一口に言っても、自然保護目的と鑑賞目的という二つの意味や概念、それぞれのやり方があります。

環境保護分野でのビオトープ ビオトープ公園や生態系公園と言った名前で整備されたところをみたことはないでしょうか。例えば、ホタルが来る川を復元するために整備を進める等、環境保護活動が行われている地域も増えています。本物の自然が第一優先とした本来の意味でのビオトープと言えるでしょう。専門家による高度な知識や技術が必要であり、維持や管理も難しいため、一般家庭のガーデニングのレベルではありません。

ガーデニングや水辺の生き物飼育分野のビオトープ 魚を飼ったりガーデニングをしたりと、家庭で人工的な自然を作ることもビオトープと呼ばれます。人間の楽しみや癒しといった鑑賞目的として広く普及しています。小さな睡蓮鉢から大きな池まで、自由に楽しむことができ、初心者でも簡単に始めることができます。いきなりめだか等の生き物を飼うのが心配な場合、まずは植物を育てることに慣れてから生き物を飼い始めてもいいでしょう。
こちらの記事は、生き物を飼う分野でのビオトープの紹介です。

ビオトープと水槽の違い

めだかやエビ等を飼うアクアリウムというと、思いつくのは水槽での飼育ではないでしょうか。ペットショップやアクアショップに行くと、水槽がたくさん並び、熱帯魚などのカラフルな魚が目につきますよね。広いアクアコーナーがあるお店では、中をよく見てみると、睡蓮鉢や池の器が売っているのも見かけられると思います。ビオトープも生き物を飼う方法のひとつです。

水槽は、魚たちに快適な環境を用意するために、酸素を送るエアレーションや水をろ過するフィルター、水草に光を与えるライト等、人工的に環境を整えてあげる必要があります。道具もいろいろ必要になりますが、どうすればより良い環境を作れるかを追求するのが楽しくもあります。

ビオトープも環境づくりが大切なのは同じですが、水槽での飼育よりも手間がかかりません。もちろん、自然な状態だからと言って完全放置というわけにはいきませんが、過度な手入れは不要です。ビオトープは、水槽という閉鎖された環境ではなく、自然の中(屋外)というオープンな環境で、様々な影響を受けて変化していきます。トンボが卵を産んでヤゴが生まれたり、どこからか風に乗ってやってきた植物の種が根を下ろしたりすることもあるでしょう。そういった自然の移ろいを感じられるのがビオトープの魅力です。

ビオトープはガーデニングとしても楽しめる
家庭でのビオトープは、ガーデニングの一部としてやっている人もたくさんいます。ガーデニングというと、植木鉢やプランター、花壇といった陸の土に植えるイメージがありますが、スイレンやハス、ミズバショウ等の水生植物を水辺で育てる植物もあります。
めだかを飼うつもりでビオトープを始めたら、植物を育てることにもはまった!ということもあるでしょう。植物のレイアウトを考えるのはとてもわくわくします。生き物の居住空間を圧迫しない程度に、ガーデニングとしてもビオトープを楽しんでみてはいかがでしょうか。

ビオトープのメリット
飼育道具は多くなく、電力を使う道具を使わなくとも良い。
一度生態系を作り上げてしまえばほとんど手間がかからない。
外の環境の影響もあり、自然の姿を楽しめる。
ビオトープのデメリット
透明なガラスの水槽と違い側面からの観察ができないため、生き物の姿が見えにくい。
室外に置くため、雨や雪等で毎日快適に観察することができない。
冬は、植物は休眠期で生き物は冬眠してしまうので、観察を楽しめないシーズンもある。

初めてのビオトープQ&A

ほとんど手を加えないというビオトープで、本当にめだかがいきいきと暮らすことができるのか、疑問に思う点もありますよね。そこで、ビオトープ初心者が気になる疑問をまとめました!

Q.外に水を放置しているのに汚くならないの?

A.
うまく生態系ができれば、水が腐って汚れた水になってしまうということはありません。自然の池や湖等がそうであるように、人工的に作った小さな自然でも浄化サイクルができるのです。
土に住み着くバクテリアが、水が汚れる原因にもなるめだか等生き物の糞を分解し、それを養分として水草が吸収、水草はめだかに必要な酸素を作り出します。

ポンプやフィルターを使うとよりきれいな状態を保てるが…
「自然な状態をビオトープというなら、ポンプやフィルター等の人工的な道具はいらないのでは?」と思われますが、道具を使った方がより良い環境を作ることができます。確かに、本物の大自然の中には、何もしなくとも水が澄んできれいな場所はあります。しかし、それは自然の神秘がなせる業であり、人工的にしかも一般家庭でその環境を作り出して維持するのはとても無理難題です。作ったビオトープを生き物飼育だけでなく、観賞用としても美しい状態を保ちたいと思うのであれば、電力を使う道具を導入することも考えた方が良いでしょう。
「電力を使う道具を入れたら自然の状態ではないのでは?」とも考えられますが、自然の池や川等は水が湧き出したり流れたりと流動的です。その自然を再現しようとするのが人工的に作られた自然環境=ビオトープとも言えるでしょう。ビオトープと一言で言っても、目的ややり方は様々です。

タニシを飼おう
タニシは、石等につく藻を主食としています。ビオトープにタニシ入れることで、入れ物内部につく藻や底に沈んだ汚泥を積極的に食べてくれるため、ある程度水をきれいに保つことができます。1.5リットルの水をきれいにするためには、タニシが5匹必要と言われています。
タニシはいろいろな種類がいますが、ビオトープでおすすめなのはヒメタニシやオオタニシです。ヒメタニシは、沼や小川、田んぼの用水路等、浅いところに住んでいるので捕まえてくることもできるでしょう。ビオトープでは困りものであるとろろ昆布のようなアオミドロをよく食べてくれますよ。オオタニシは、水質・水温の適応能力が高く、とても丈夫です。酸素不足や水質が悪化すると水面付近に近づいてきて、アンモニアや亜硝酸塩が多くなると空を閉じてしまいます。オオタニシをよく観察していると、水質の指標にもなります。

Q.掃除や水替えは必要?

A.
ほとんど必要ありません。ただし、水や入れ物が極端に汚れてきた場合、掃除や水替えをする必要があります。ビオトープを始めたばかりの内は、バクテリアが少なく、アオコやアオミドロと言った藻の発生に悩まされるかもしれません。特に、水量があまり確保できないような小さい容器は、水質を安定させることが難しいので汚れやすくなります。
水や入れ物が汚れてきたら、中にいる生き物きちんと守りながら掃除をしましょう。突如水を変えて環境が変わってしまうと、生き物が死んでしまう可能性があります。環境適応能力が高いと言われるめだかでも、急な水質や水温の変化には要注意です。掃除後、きれいにした入れ物に戻す際は、水合わせを慎重に行いましょう。

Q.外に水を放置していたらボウフラが沸きそうだけど大丈夫?

A.
夏にはボウフラが発生してしまいますが、めだかがいれば食べてくれるので、蚊の発生を防ぐことができます。ビオトープを始めるなら是非めだかを飼ってみましょう。
ただし、小さいサイズのめだかは一口でボウフラを飲み込めないので、駆除にはなりません。逆に、小さい稚魚は食べられてしまう可能性があるので気を付けてください。また、容器の大きさに対して、めだかが少ないとボウフラが増えて食べきれずに蚊になってしまいます。ボウフラの繁殖を防ぐためには、ある程度の数のめだかが必要になるでしょう。 生き物を入れずただ水を張っているだけの場合、ボウフラがどんどん発生してしまいます。生き物がいると簡単に水の入れ替えはできませんが、植物だけの場合、ボウフラが羽化する前に水を変えることで蚊の発生を防ぐことができます。卵からボウフラ、ボウフラから羽化までそれぞれ1週間程度なので、1週間に1度程度の頻度で水を変えると良いでしょう。

 

ビオトープ入門のまとめ

ビオトープは、自分の手で小さな自然を作るというとても神秘的で面白いものです。人工的なものとはいえ、自然の生き物の暮らしを手軽に眺めることができ、好奇心を刺激します。大人はもちろん、子どもがいる家庭で生き物を飼うにはぴったりでしょう。
ビオトープは、基本的にはポンプやフィルター等を入れずに、そのままの自然の状態にしておく生き物の飼育方法です。道具を使わないので、できるだけ水量が多い容器を使った方が良いのですが、大きな池でなくともかまいません。水が漏れにないよう底がふさがるタイプの大き目のプランターや睡蓮鉢等を置くスペースがあれば始めることができます。
置く場所は、容器のサイズにもよりますが、小さいものなら50cm四方もあれば大丈夫なので、それほど場所も取りません。めだかや金魚、エビだけを飼育するのではなく、水辺の植物も育てられるので、ベランダや庭、玄関の横等、いつも眺められる場所に置くと、毎日の生活に潤いが生まれますよ。

こちらの記事ではビオトープの本を紹介しています。是非読んでみてくださいね。
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是非あなたもビオトープの世界に足を踏み入れてみませんか?飼育用具などは身近なホームセンターやペットショップに見に行ってみましょう!