種類が豊富で案外人にも馴れる!?爬虫類の魅力

トカゲが木の枝の上から振り返るようにこちらを見ている様子

爬虫類と言えばヘビやトカゲを思い浮かべる人が多いですよね。ペットと言えばふわふわもこもこした生きものを想像する人が多いと思いますが、最近では爬虫類もペットとして人気が出ています。爬虫類と一口に言っても様々な種類がいて、飼い方や楽しみ方もそれぞれです。今回は、爬虫類の魅力を簡単に紹介します。興味がなかった人も、爬虫類の魅力を知ればペットとして迎え入れたくなるかもしれませんよ!

爬虫類の種類

爬虫類は有鱗目、ムカシトカゲ目、カメ目、ワニ目の4種に分類されます。有鱗目は、トカゲやイグアナ、ヘビ、ヤモリ等の鱗(ウロコ)を持った種類のことです。ムカシトカゲ目はニュージーランドに生息している恐竜のような姿をしている種類です。カメ目やワニ目はその名の通りですね。それぞれ姿かたちや性質も様々、たくさんの種類が存在します。

カエルは爬虫類?
カエルは見た感じや生息環境から爬虫類と思いそうですが、よく考えてみれば両生類とわかります。カエルは卵から生まれ、最初はオタマジャクシとしてエラ呼吸をしながら水中に生息し、成長すると陸に上がって肺呼吸しながら皮膚呼吸もします。爬虫類と両生類の違いは水を離れて生きる(種が存続していく)ことができるかどうか。陸で生きるカエルもいますが、卵に空がないため、産卵には必ず水辺が必要になります。

爬虫類がペットとして人気な理由

バリエーション豊か 爬虫類は様々な種類がいて、その見た目もまるで違います。ヘビやトカゲが苦手な人でも、カメはかわいいと感じることもあるでしょう。トカゲもたくさんの種類がいて、色や顔がかわいいものもいます。自分の好みの爬虫類を探すのも楽しそうですね。
無機質な中にもなんとなく表情がある気がしてきて、顔もかわいいものです。特に、クリッとした純粋な爬虫類の目に魅力を感じる人も多いでしょう。カメやヘビののっそりした動きや、活発に動くトカゲ等、生きている姿に力づけられ癒されるでしょう。

意外とコミュニケーションが取れる 手から野菜をもらっているカメの様子犬や猫はもちろん、鳥等も飼い主とスキンシップをとることができますが、爬虫類はできないと思っている人が多いかもしれません。実は、爬虫類でも人間になついて手からご飯を食べさせたり乗せたりすることができる種類もいます。呼べば来る個体もいるようです。十分になれるためには時間がかかるので、ゆっくりじっくりコミュニケーションをとっていく必要があります。
ただし、爬虫類はなつくというより、人に馴れるということを覚えておくと良いでしょう。爬虫類は犬や猫、ハムスター等のようにもともと群れで暮らしたり人になつく習性をもったり、愛玩動物として改良された生きものではありません。野生育ちではないかもしれませんが、あくまで、野生の生きものです。人なれという点では過度な期待はしない方が良いかもしれません。警戒心の強い爬虫類が、自分を敵視しなくなっただけでもすごいことではないでしょうか。意外な行動を見せるところがまた爬虫類の魅力ですよね。

ハンドリング
ヒョウモントカゲモドキを手の上に乗せている様子爬虫類を手に乗せたり遊んだりすることをハンドリングと言います。ハンドリングの賛否はありますが、スキンシップはペットを飼う大きな楽しみの一つですよね。本来野生の生き物をむやみに触ることは、ストレスになる可能性もあります。しかし、ハンドリングによってケージの掃除がしやすくなったり健康管理につながったりと良いこともあるようです。
正しい方法で、種類や個体によっては、ハンドリングを行っても大丈夫な爬虫類もいるでしょう。無理をせずにストレスをあまり与えないようにしながらペットのコミュニケーションを深めていけたらいいですね。

省スペース・省お世話で一人暮らしにも向いている 飼育スペースは小さく済み、散歩や外に出して遊ばせる等は必要がなくその点では手がかかりません。エサも毎日与えなくとも良い種類もいます。そういった種類は、長期間家を空ける場合でも環境を整え、事前にしっかりエサを食べさせておけば問題ないでしょう。一人暮らしでも寂しくてストレスを感じることもありません。これは飼い主としては少し寂しいかもしれませんね。

爬虫類をペットにするために気を付けること

脱走に要注意! 知らぬ間にケージから抜け出していたり、掃除中に誤って逃がしてしまったり…部屋の中でおさまるならまだいいですが、部屋もしくは家を出たらもう二度と帰ってこない可能性が高いです。外では生きていけない可能性もありますが、外来種は生態系を壊す可能性もあります。
また、いくらマンション等でも飼育可とはいえ、爬虫類は好き嫌いが分かれる生き物なので、近くで逃げ出したと聞くだけでも嫌いな人には恐怖だと思います。
ペットのためにも、周りに迷惑をかけないためにも、絶対に逃がさないようにしたいものです。

飼育スペースやエサから臭いがする 爬虫類は生体自体の臭いはほとんどありませんが、糞やエサが臭いので、ケージや水槽などの飼育環境から臭いが発生してしまいます。飼い主は気づかないかもしれませんが、家族や来客には心奥思われない可能性があるので管理には気を付けてください。生き物を飼うにはどうしても臭いがあるものなので理解を求められるよう、真剣にペットとも向き合いましょう。

管理が難しい トカゲが飼育ケージからこちらを見ている様子爬虫類をペットにするにあたって、最も手がかかるのは環境の維持です。温度調整や湿度管理にはすごく気を使います。エアコンやヒーターを常につけている必要があるため、規模によってはけっこう電気代がかかるでしょう。 また、エサにもお金と手間がかかります。爬虫類の中には、生餌しかた食べない種類も少なくありません。エサは毎日やる必要がない種類もいるので、それほど手間にならないかもしれませんが、エサとなる虫や魚等を買うもしくは飼うのにそれなりにお金や手間かかるでしょう。エサは毎回同じものを食べてくれるわけではなく、突然食べなくなったりもするので気を使います。 もちろん、初心者でも飼いやすい爬虫類はいるので、初めはきちんと管理できる種類を選ぶと良いでしょう。また、爬虫類を飼いたくても生餌や冷凍マウス等に抵抗がある場合、葉物が中心のリクガメ系がおすすめです。

爬虫類を飼うということは、環境を飼うということ
爬虫類はペットショップ生まれ・育ちでもあくまで野生の生き物です。野生の一部を切り取って家に持ってくるのですから、本来生息している環境を作り、維持し続ける必要があります。自分の部屋に、南米やアフリカの大自然が小さな箱に収まっていると思うと、とても神秘的ですよね。爬虫類を飼うということは、選んだ爬虫類の原産地の環境を飼うことと言えるでしょう。

放置・放棄しない 爬虫類は犬や猫のように目に見える形で愛情を返してくれるわけではありません。散歩や遊ぶ時間を作ることもしなくていいので触れ合いが少なめです。最初は面白いと思って飼ってみても、飽きたり忘れたり面倒になったりして放置してしまう人もいるようです。放置していれば臭いもしてきて、管理不足でいずれは死んでしまいます。
爬虫類は犬や猫と違って悲痛の声を出したり、表情を大きく歪めたり、苦しみを訴えることができないので、しっかり管理してあげなければ気づかないこともあるでしょう。爬虫類も大切なペット、命だということを忘れないようにしましょう。

爬虫類を自然に放してはいけない!
たくさんのカメが池のふちの岩で甲羅干ししている様子爬虫類は野生の生き物をペットにしているのだからそこら辺の自然でも生きていけると勘違いしているかもしれませんが、それは違います。確かに、爬虫類や魚は本来の住み処を切り取って飼っているわけですが、本当の大自然とは全くの別物です。おそらく、ほとんどの種類は生きてはいけないでしょう。
もし、そこら辺りの山や川でも生きていける強い種類の場合、生態系を壊す恐れがあります。例えば、ミドリガメと呼ばれるミシシッピアカミミガメはペットショップやお祭りの出店でも売り出され、手軽なペットとして飼っている人も多い亀ですが、このカメは実は非常に危険です。最初は小さくてかわいいのですが、寿命は20~30年で体調は成長すると最大約30cmにもなります。とても一般家庭の小さな水槽では飼えないサイズです。少し前まで、最後まで飼いきれずに近所の川や池に放したということが多く、在来のカメと競合したり、雑食のためその他水辺の生き物に影響を及ぼしたり、じわじわと生態系を崩しています。
今では環境省で日本の生態系等に被害を及ぼすもしくは及ぼす恐れのある外来種については、規制や防除、理解促進等に取り組んでいます。ペットとしての爬虫類は攻撃力や生命力が強い外来種が多く、日本の在来種が負けてしまい、危機に陥っている生き物もいます。雷魚やブルーギル、カミツキガメ等の人間にとっても危険な生物も多いです。
万が一、飼育が困難になったとしたら、ペットとして爬虫類が生きていくためにも、生態系を壊さないためにも、自然に返す・放すという選択は絶対にしてはいけません。せめてペットを飼った最後の責任として引き取ってくれる人・施設を探してください。特定外来生物に指定されている動物の飼育は許可が必要で、繁殖、保管、運搬、販売、譲渡、野外への放流等は厳禁と法律でも定められています。犯せば犯罪となりますので、ペットの飼育を始める前によく調べて最後まで本当に飼いきれるのか判断しましょう。

爬虫類をペットにするということ

コーンスネークがこちらを見つめている様子爬虫類は少し前まで、変わった人が飼うイメージがありました。最近では、女優の新垣結衣さんがヒョウモントカゲモドキをペットにしている等、爬虫類は女性にも人気が出ているペットです。今はだいぶイメージが良くなったとはいえ、まだまだは爬虫類をペットにするということに抵抗がある人が多いことと思われます。メジャーなペットになるにはもう少し時間がかかりそうです。専門店やコミュニティも増えてきましたが、見てもらえる動物病院は少なく、自分で調べて実践していくしかありません。
そんな世間の若干冷たい風を受けても気にすることなく爬虫類が好きで、研究熱心で、最後まで面倒を見る覚悟がある人が爬虫類をペットにして楽しく暮らすことができるでしょう。自分の家で小さな大自然を眺めるという神秘的な楽しみも味わえます。爬虫類は飼ってみれば良さがわかると良く聞きますが、一緒にいればいるほど爬虫類の何とも言えない魅力にどっぷりはまっていきそうです。