お祭の金魚すくいでとった金魚の飼い方はバケツで大丈夫!?持ち帰ったら最初にすること

お祭りや縁日で定番の金魚すくい、やったことがないという人の方が珍しいくらい多くの人が経験しているのではないでしょうか。しかし、せっかくとってきた金魚を、飼い方よくわからずに死なせてしまったという人も多く、悲しいことです。
そこで今回は、お祭りや縁日でとってきた金魚を帰ったらどうするか、道具は何を用意すればいいのか、金魚を飼う準備について紹介します。

「子どもにせがまれて、金魚すくいをやって持ってきたけど、この後どうしよう」
と思っているお母さんお父さん必見です!

金魚すくいの金魚とは

金魚すくいの出店で泳いでいるたくさんの赤くてかわいい金魚たち、金魚の原点といわれる和金という種類がほとんどです。5cm程度と特に小さい金魚を「小赤」、少し大きい10cm以内の金魚を「姉金」と呼びます。泳ぎが早く、大きく成長するのですが、育てやすい種類の金魚です。
たまに数匹、ずんぐりむっくりとした体形が特徴の琉金、目が飛び出している出目金も見かけることもありますよね。他にも、稀に、らんちゅう、オランダ獅子頭、丹頂などの高級な金魚が泳いでいることもあります。尾ヒレが長いコメットや朱文金は、お店の目玉として数匹いる可能性が高いでしょう。
ただし、高級金魚は、尾が短い等の理由で選別から漏れた個体が多いようです。お店で売っている個体よりは見た目が良くないかもしれませんが、金魚すくいでとることができたらとてもラッキーです。

金魚の状態はあまりよくない

金魚すくいの金魚は基本的には状態が良くありません。金魚すくいの金魚は、その年の春に生まれた当歳という個体で、生まれて3カ月程度の子どもです。人間で言うと幼稚園の子どもくらいになります。まだ体力も少なく、水質の変化などに適応できずに衰弱してしまうような弱い個体です。お祭りの出店のような飼育環境が整っていないところでは、どんどん弱ってしまいます。

金魚すくいの金魚、実は…
お祭りの出店に出回っている金魚のほとんどは、飼育・鑑賞用ではないと言われています。実は、大型魚のエサ用なのです。必要最低限の飼育環境で育てられているため、体力は少なく体格も小さくなります。
だからと言って、飼ってもすぐ死ぬというわけではありません!確かに、弱くて長く生きられない場合もありますが、大切に育てれば立派な金魚になりますよ。あなたの周りでも「うちの金魚、もう何年も生きてすごく大きくなってるよ」という人がいるのではないでしょうか。筆者の家でも、子どものときにお祭りでとってきた金魚が、10年以上も池の中で泳いでいました。

良い金魚を連れて帰るコツ

状態の良い金魚をとるには、祭期間の早いうちに行くのがコツです。できるだけ大きくて元気な金魚を狙い、とったらすぐに家に連れて帰りましょう。
お祭りの出店の金魚の飼育環境は良いとは言えません。お祭りの出店の金魚たちが泳いでいる入れ物は、ブクブクとするエアレーションがついていてもろ過機がついていないので、祭期間中に水質が悪化していきます。ただでさえ弱い個体を、金魚にとって過酷な環境で過ごさせることになるため、ストレスもかかり、どんどん弱ってしまいます。
そのため、金魚を無事に連れて帰りたいと思ったら、祭期間の最初の方に行くのがおすすめです。少しでも弱っていく前の金魚をとると良いでしょう。

また、体が大きくてできるだけ元気が良い金魚を狙ってとるのがおすすめです。大きい金魚は、秋から冬に生まれたと思われる明け2歳と言われる年をまたいだ丈夫でつい室悪化にも強い個体だと思われます。体が大きいのも元気が良い金魚はとるのが大変で、つい弱った金魚を狙いがちですが、ペットにするには元気な方がいいでしょう。

金魚をとったらできるだけ早く家に連れて帰るのもポイントです。小さな袋では空気が足りず、ストレスもかかり弱ってしまいます。

金魚もストレスを感じる
金魚も他のペットと同じようにストレスを感じます。出店の金魚すくいの環境は金魚たちにとって過酷なため、強いストレスがかかります。人間でもストレスは万病のもととなるように、ストレスは免疫力を低下させます。金魚も強いストレスを受けると病気の発症率が上がったり突然死を起こしたりするのです。

金魚を連れて帰ったら最初にすること

金魚はお祭りの過酷な環境ですっかり弱っています。金魚が養生できる環境を用意して金魚を休めてあげましょう。

①大き目の入れ物にカルキ抜きした水を用意する
バケツや洗面器等でOK!
最低でも10リットルのバケツに金魚は2~4匹までだが、できれば1匹に10リットルあると良い。
水は、お祭りに行く前日から水道水を汲み置きして、もしくは、お祭りの前に、水道水を沸騰させて冷ますことでカルキ抜きをしておくと良い。
突然のことでカルキ抜きした水を準備していない場合、水質中和剤(カルキ抜き)でカルキを抜く。
②塩を入れる
金魚の体内浸透圧と同じである0.5%の濃度の塩水を作る。
1リットルの水に対し、塩は小さじ1が目安。
塩には殺菌効果があり、病気になるのを防ぐ。
③水温を調整をする
金魚の入っている袋のまま、塩水に浮かべる。
10~30分程そのままにして、袋と塩水の温度が同じになるまで待つ。
袋と塩水の温度が違い過ぎると良くないので、できれば同じくらいになるように塩水の温度を調節しておいた方が良い。
※水温計を用意している場合、水温を測って温度を合わせる。
④水質を徐々に合わせてから金魚を放す
袋の口を開けて、袋の水の1/3程度を捨てて、塩水を入れて少し塩水を入れ、口を閉じて10分ほど塩水に浮かべる。
上記作業を3~5回程度繰り返したら、金魚だけを塩水に入れ、袋の水は捨てる。
⑤塩水浴&断食して養生させる
1週間断食させる。エサを与えない。

以上が金魚すくいでとってきた金魚にすべき養生の方法です。1週間養生させ、元気に泳いでいるようであれば、まずは窮地を脱したと言えそうです。養生後は水槽に入れて飼育してください。飼育用品の準備がまだの場合、養生させている間に道具を揃えましょう。

金魚すくいの金魚を連れて帰る覚悟
金魚すくいの金魚は、どんなに良い環境で迎え入れたとしても、回復できないほど弱っている場合もあります。とても残念なことですが、こればかりは仕方ありません。金魚の死は覚悟しておいた方が良いでしょう。それくらい、金魚すくいの金魚は弱く衰弱しているのです。
だからと言って、金魚すくいで金魚をとるのはやめようというわけではありません。金魚は人に良く慣れる魚で、とてもかわいらしいペットになります。小さな金魚とはいえ、せっかく縁があって出会った命です。生き残った金魚は大切に育ててあげましょう。

金魚の飼育で用意するもの

金魚はよくいるペットだし水とエサさえあれば大丈夫だろうと考えられがちですが、案外簡単なことではありません。金魚の飼育にとって、環境はとても大切です。突然金魚すくいで道具も何もなくとも、まずはバケツや大きい容器で金魚を養生させ、その間に飼育環境を整えましょう。

必ず用意したい飼育用品

飼育に必要な道具は、ペットショップやネット通販等でセットにして売っていることもあります。どれを買ってよいかよくわからないという場合、スターターセット等、セット商品を選ぶと良いでしょう。

水槽
金魚の数や大きさに合わせてサイズを選ぶ。
金魚すくいの金魚(和金)は5cmくらいの小さいサイズなので、最初は20cmの小さい水槽でも問題ないが、成長すると20cm程度、個体によっては30cm近くになる。
小さい水槽を用意した場合、成長に合わせて水槽のサイズをアップしていく必要あり。
大きくなることを想定し、できれば大き目の水槽を用意するのが良い。
例えば、一般的なサイズの30cmの水槽であれば、5cmの金魚が3匹まで、10cmの金魚が1匹までが目安。
最初に、柔らかいスポンジで洗剤をつけずに洗うこと。
設置する場所は、温度変化の少なく安定した場所に。
ろ過装置・フィルター
水槽の水をきれいにする役割がある。
水槽の水は、金魚のフンやエサの食べ残し等で日々汚れていく。
毎日の水替えは金魚にも負担となるため、水をきれいに保てれば水替えの回数を減らすことができる。
エアレーションの役割を兼ねるものもある。
エアレーション
水に酸素を送る装置。
金魚は水中に溶けた酸素をエラ呼吸して取り入れるため、黙っていると水中の酸素量が少なくなる。
金魚が水面近くで口をパクパクさせているのは酸素が足りていないということで、放っておくと弱っていく。
カルキ抜き
水道水に含まれる塩素を中和する薬剤。
水槽に入れる水は必ずカルキ抜きをする必要があるが、薬剤を使うとすぐにカルキ抜きすることができる。
エサ
ペットショップやホームセンター等で売っている金魚用のエサを用意。
金魚は、生きるだけならそれほど多くのエサを必要としないが、与えればよく食べる。
エサを食べる姿がとてもかわいいのが金魚の魅力だが、エサを与えすぎれば大きくなり、食べ残しは水を汚してしまうので要注意。
1日1回~数回程度、一度に金魚が食べきれる量を、金魚の様子を見ながら与えていくと良い。

金魚鉢で金魚を飼うのは虐待!?
昔から金魚は日本人にペットとして親しまれてきました。金魚鉢の中で泳ぐ金魚の姿はとても趣があります。そんな昔からなじみのある金魚の飼育道である金魚鉢ですが、実は金魚を長く飼おうと思ったら適した容器ではありません。
金魚鉢は安く手軽に手に入り、見た目もオシャレで小さいので持ち運んで水替えも楽です。しかし、金魚鉢では水量が少なく、水質悪化も早くなり、酸素不足にも陥りやすくなります。また、丸い容器は金魚の視界を悪くしてストレスになるようです。現代において、金魚鉢やどんぶり金魚は金魚にとっては良い環境とは言えず、なんとイタリアの首都ローマでは虐待になります。
金魚鉢はオシャレなインテリアとしては最適ですが、金魚の長期飼育には向いていません。もし金魚鉢で飼いたいと思っても長期飼育は避けてください。水槽を用意するまでの一時的な飼育場所と考えていた方が良いでしょう。

あった方が良い飼育用品

なくとも金魚を飼うことができますが、よりお世話をしやすく、金魚にとっても暮らしやすくなる道具を紹介します。金魚を飼うのに慣れてきたら、徐々に水槽のレイアウトにも挑戦してみてはいかがでしょう。

水温計
水温を測るために水槽内に入れる。
金魚は水温を15~28℃に保つと健康で快適に過ごすことができる。
ヒーター&サーモスタット
ヒーターは水を温め、サーモスタットは水温が上がり過ぎないように自動管理する道具。
水温が下がる冬等の温度管理に大変助かる。
砂利
水槽の底に敷くことで、自然の環境に近づけて金魚に落ち着いてもらう効果があり、見た目も良くなる。
ろ過機能のあるものもあり。
水槽に入れる前にはきれいにする必要があるので、何か容器に入れて洗剤を使わずに水が透き通るまで洗う。
水草
光合成をすることで水中の酸素を増やし、腐敗の原因となる水中の栄養素を取り入れて水質をよくする働きがある。
金魚に安らぎを与える効果もあり、金魚が食べられる水草は金魚の非常食にもなる。
水草は、1日数時間でも良いので日光に当てなりと枯れてしまうが、日光はコケが育つ原因になる。
日光がない夜間には若干でも水草も酸素が必要になるので、水草を入れすぎると逆に酸素不足になってしまう可能性がある。
アクセサリー類
流木や石、置物、バックスクリーン等、水槽の見た目をよくするだけでなく、金魚が落ち着ける環境を作る役割もある。
水槽用のものを購入し、水槽に入れる前には洗剤を使わずにしっかりと洗う。

水槽の掃除用具

水槽の掃除は、金魚に住みやすい環境を保つために欠かせません。金魚にも配慮しつつ、お世話を効率化できる道具があると重宝します。

バケツなどの大きな容器
金魚を飼う必需品!
水替えや継ぎ足しのために水の汲み置きをしたり、水替えや掃除のときに金魚を一時避難させたり、様々なときに使用する。
注ぎ口がついているものがあると便利。
水替え用ポンプ
バケツ等の容器を使って手で水を汲み出すよりも、ポンプがあれば簡単に水を吸い出せる。
電動で吸い上げるタイプもあるので、水量が多いと便利。
ゴミ取りネット
水槽の中の金魚のフンや食べ残したエサ等、ゴミを取り除くために使う。
金魚を移動させるときにも金魚をすくうことができる。
コケ取りクリーナー
水槽の内側についたコケを取るために便利なクリーナー。
コケ取り専用のクリーナーを使うとコケが取りやすい。

金魚すくいをする前に考えてみよう

夏のお祭りや縁日の出店と言えば、金魚すくいを思い浮かべる人は多いでしょう。親子でやったり友達とやったり、とても楽しい夏祭りの風物詩です。金魚すくいを始めると、金魚をたくさんとろうと夢中になってしまいますよね。ところが、お祭りで金魚をとってペットにしたいと思って金魚すくいをする人は少ないのではないでしょうか。金魚をとったのは良いものの、「この後どうしよう…」と悩む人も多いでしょう。「設備もないからとってこないで!」と思うお母さんも多いですよね。

もし、金魚すくいで金魚をとってもうちでは絶対に飼えない!と思うのであれば、とった金魚はお店においてきましょう。たとえ小さな金魚とは言え、生き物を飼うには責任が生じます。金魚をしっかり飼うつもりがないのなら、持って帰らない方が良いでしょう。
ただ、お子さんがどうしても連れて帰りたいと言うなら、お子さんの勉強のためにも連れて帰ってもいいのではないでしょうか。たいてい、家にバケツと塩ならありますよね。お祭りに出かける前日には、念のためバケツに水道水を汲み置きしてカルキ抜きをしておくと良いでしょう。急遽ということなら、カルキ抜きの中和剤を100均等で手に入れればすぐにカルキ抜きした水を作れます。

子どもの情操教育にもなるため、ペットして飼うにはピッタリです。子どもが初めてとった金魚は、記念や思い出にもなり思い入れもできますよ。あなたもお子さんもきっと「せっかく連れて帰ったからには元気に生きてほしい」と思うはず。その気持ちを持って、親子で金魚の飼育について勉強しながら一生懸命お世話をしてあげましょう。金魚は賢く人に慣れる生き物なので、エサをあげる時等、近くに寄ってきてとてもかわいいものですよ。失敗もあるかもしれませんが、試行錯誤して成長した金魚は、大切な家族の一員となるはずです。金魚は、生き物を飼う大変さや楽しさ等、いろいろなことを教えてくれることでしょう。