癒しのクラゲ鑑賞を自宅で!ペットしてのクラゲの飼育方法と注意点

ゆらゆらと水の中を漂うクラゲ、見ているだけで癒し効果がありますよね。水族館ではおなじみのクラゲですが、ペットとしても飼育できます。自宅で毎日クラゲ鑑賞も夢ではありませんよ。
今回は、クラゲの飼い方を紹介します。飼育方法と注意点をチェックしてみましょう。

クラゲは自宅でペットとして飼育できるけど…

クラゲを自宅でペットとして飼えたなら、毎日クラゲ鑑賞ができて癒されそうですよね。自宅でもクラゲ飼育は可能か不可能かと言ったら、可能です。しかし、クラゲを飼うのはそう簡単なことではありません。
クラゲを飼う難しさを知り、自分の家にクラゲをペットに迎えられるかどうかを考えてみましょう。

クラゲの生態は謎が多い

水族館では、様々な種類のクラゲをたくさん見ることができます。そこら辺の海にたくさんいるし、水族館では当たり前に展示されている生き物で、飼育方法も確立されているのだろうと思いますよね。
実は、クラゲの生態はいまだに謎が多く、水族館でも研究が続けられています。熱帯魚等の飼育方法はネットや本、お店で聞いてもたくさん情報がありますが、クラゲの飼い方についての情報はまだまだ少ないのです。

クラゲは水質に敏感で飼育環境を整えるのが大変

クラゲは、お盆を過ぎると海に大量発生しているイメージがありますよね。海水浴で刺されたという人も少なくないのではないでしょうか。海に行けばたいていいるしどこにでも住めそう、と思いますよね。
ところが、クラゲは水質に敏感で、変化に弱い生き物です。自然の海に生きている野生のクラゲでも、気候の変化等で大量死がニュースになることもありますよね。魚や爬虫類等も環境がとても重要であるように、クラゲも環境作りが大切で難しいのです。

まず、海水を用意してクラゲが住める水質にするまで手間がかかります。水質に敏感なクラゲは、水が合わないとすぐに死んでしまいます。1週間に2回程度、ゆっくりと慎重に水換えをする必要があるでしょう。
そして、クラゲは、泳ぐというより水に漂う生き物なので、クラゲが浮遊するのにちょうどよい水流を作る必要もあります。流れが急すぎるとポンプやフィルターに巻き込まれたりぶつかってケガをしたりしてしまいます。
また、クラゲの種類によっては光が必要です。光合成をしてクラゲと共生する褐虫藻という藻を体に飼っているクラゲの場合、常にライティングが必要です。

エサやりが大変

クラゲのエサやりには2通りの方法があります。飼育水槽にそのままエサを入れる方法と、クラゲをおたま等で別の入れ物に移してエサを与える方法です。
飼育水槽にそのままエサを入れると、食べ残しで水質悪化が心配です。別容器に移す方法は、クラゲがいる分だけ移動させてエサを与えるのが大変でしょう。

クラゲの混泳飼育はできない

クラゲは毒針を持っている種類も多く、魚とは一緒の水槽に入れられません。魚もクラゲを食べることがあるので、お互い食べあいになってしまう可能性があるので危険です。
別の種類のクラゲの混泳飼育も不可能です。クラゲは種類によって飼育環境が異なるので、同じ環境では生きられません。
水族館でもクラゲと魚がいる水槽、違う種類のクラゲがいる水槽を見たことはありませんよね。

クラゲは寿命が短い

クラゲの寿命は、半年~約1年程度です。飼育環境も整え、万全な状態でクラゲを飼い始めたとしても、クラゲは短命なためすぐにお別れがやってきてしまいます…
ペットとしてかわいがるにはあまりにも短い命です。だからと言って粗末にすることなく、お別れが近いとしても覚悟を持ってクラゲの一生を見守ってあげましょう。

クラゲの飼育に必要なものや設備

クラゲは水中で暮らす生き物なので、熱帯魚等を飼うのとだいたい同じ道具を揃えればいいのかと思われますよね。ところが、それは少し違います。水槽で飼育するのは同じですが、クラゲを飼うための道具や工夫が必要です。<

水槽
できればクラゲ専用水槽が望ましい。
熱帯魚等を飼育する一般的なのアクリル水槽でも可。
クラゲがぶつかって傷ついたり死んだりしないように、アクリル板等で角がある場所には丸みをつける等の工夫が必要。
海水の素、カルキ抜き
水道水をカルキ抜きし、人工海水の素を使って人工海水を作る。
海で海水を汲んできてもいいが、よほど近くになければ面倒くさく、不純物が混ざっているので人工海水を作るのが手軽でおすすめ。
水流ポンプ
ほとんどのくらげは泳ぐ力が弱くいので、水の流れを作って水中を漂うことができるようにする必要がある。
水流は、強すぎても弱すぎてもだめなので、ちょうど良い流れを作り出す設置位置に調整する必要がある。
クラゲがぶつかって傷ついたり、吸い込まれたりしないよう、吸水口をスポンジで覆うと良い。
クーラー、ヒーター、水温系
夏場はクーラー、冬場はヒーターを使って水温を一定に保つ必要がある。
適水温はクラゲの種類によって違うが、だいたい24度前後。
水温系を入れて温度チェックすると良い。
エサ、スポイト
飼育されるクラゲの一般的なエサは、ブラインシュリンプ(アルテミア)というかつてシーモンキーとして流行ったこともある動物プランクトン。
ブラインシュリンプは一般的だが、クラゲに必要な栄養素を含む植物プランクトンの方が自然なので、冷凍プランクトンも用意しておくと良い。
クラゲの栄養やビタミン等を配合したクラゲのエサや、サンゴ用の人工飼料や液体フードも売っている。
水に溶かしてスポイトで少しずつすくって与える。
食べ残しのエサや、排泄物等、浮遊しているものスポイトで取り除くことで水質悪化を少しでも防ぐ。
ライト
飼育するクラゲの種類によっては、メタルハライドランプ等の強い光が必要。
光が必要なクラゲは、常にライトをつけていなければ弱ってしまう。

クラゲ飼育セット
クラゲを飼うための水槽やポンプ等、飼育道具が一式揃ったセットの販売もあります。オールインワンのセットなので、初心者でも手軽にクラゲ飼育が始められます。
道具は簡単に揃っても、お世話が手軽というわけではないので要注意!

飼育しやすいクラゲの種類

クラゲは海で採取することができますが、毒針を持つ種類が多いので危険です。採取する際に、クラゲを傷つけてしまう可能性もあり、せっかく捕まえても傷ついているとただでさえ短い寿命が更に縮んでしまいます。
クラゲはできればペットショップやホームセンター等で入手すると良いでしょう。

ミズクラゲ
日本の海にも普通に住んでいる身近なクラゲ。
水流が適していなかったり、エサ・栄養不足だったりすると形が崩れてしまう。
水温…15~25℃
サカサクラゲ
ほとんど泳がないので、水流がなくとも飼育可能で飼いやすい。
ただ、ずっと底にいるだけなので、ふわふわ漂うクラゲのイメージではない。
体内に光合成を行う褐虫藻がいるので光不足に要注意。
水温…20~28℃
カラージェリーフィッシュ
タコクラゲの仲間で、泳ぐ力がわりと強いため、水流を気にしすぎなくとも良い。
褐虫藻の量や質によって色のバリエーションが異なり、色による名前でも呼ばれる。(例えば、青ならブルージェリーフィッシュ)
体内に光合成を行う褐虫藻がいるので光不足に要注意。
水温…25℃前後

まるで本物!?人工クラゲを飼う?

通販サイトで「クラゲ 飼育」と検索すると、本物のクラゲの飼育用品の他に、人工クラゲのアクアリウムセットもたくさんヒットします。割と大きいインテリアから卓上用の小さなものまで、思わず買ってみたくなるものばかりです。
人工クラゲはシリコン等でできていて、まるで本物のクラゲようにゆらゆら揺れたり、電池を入れて光ったりする仕組みです。2,000円程度から買えるので、手軽なインテリアとしてピッタリですね。
人工クラゲなら、死ぬことはありません。メンテナンスの手間も少ないので、生き物を飼うことに自信がないけどクラゲに癒されたいという人もぜひ自宅に置いてみてはいかがでしょうか。

作って楽しいクラゲボトル
人工クラゲのアクアリウムは自分で作ることもできます。動力がないので大人には少し物足りないかもしれませんが、子どもには大うけで、工作としても人気があるようです。
ペットボトルにビニールのクラゲを詰めてクラゲボトルの作り方は、下の動画を参考にしてみてください。
ラメを入れたりキラキラ小物を入れたり、ぜひオリジナルのクラゲボトルを作ってみてくださいね。

クラゲの世話

クラゲは水質の変化に敏感なので、水槽は常にきれいな状態にしておかなければいけません。エサやりや水換え、掃除が主なクラゲのお世話になります。たったこれだけかと思われますが、クラゲを傷つけないように、水をきれいに保つようにするには慣れるまでけっこう大変です。

クラゲの扱いで気を付けること
クラゲを扱うときはクラゲに気泡が入らないよう注意してください。気泡が入るとクラゲの傘が破けてしまう可能性があります。
移動した後等、もしも傘の中に気泡が入ってしまったら、水中でクラゲをひっくり返して気泡を抜きましょう。

エサやり

実は、クラゲは大食いです。海には目に見えないほど小さな生き物がたくさんいて、野生のクラゲはそれらを常に食べながら生きています。
飼育するクラゲへのエサやりは1日2回程度です。最低でも1回は必要ですが、できれば朝夕に1回ずつが良いでしょう。食べる量や栄養が不足すると形が崩れてしまい寿命も縮んでしまいます。
プランクトンネットを使い、海からエサを採集してくることも可能ですが、毎日海に行くのはあまり現実的ではないですよね。販売されているエサの種類がいろいろあるので、栄養バランスを考えて何種類かストックしておくのがおすすめです。

エサを与えるときは、クラゲをおたま等で1匹ずつ丁寧にすくい、別の容器に移して与えると水槽の水質悪化を防ぐことができます。長時間小さな容器に入れっぱなしにすると水質が悪くなって死んでしまうので、戻すのを忘れないよう気を付けましょう。
この方法のデメリットは、飼っているクラゲが多いと手間になること、クラゲを傷つけてしまいかねないこと、人工海水の消費が増えてしまうことです。

エサを水槽に直接入れる方法もあります。クラゲが食べきれる量を見定めて、スポイト等でクラゲの口腕(傘の下から延びているもの)に吹き付けるようにします。そうすることで、エサが散らばってしまうのを防ぎ、クラゲはエサを取りやすくなります。その際、空気を入れてしまわないように気を付けましょう。
別容器に移すよりも楽にエサを与えられますが、この方法のデメリットは、水槽の水質が悪化しやすく、掃除やろ過装置のメンテナンスの頻度が多くなることです。

水換え

水換えの目安としては、1週間に1~2回です。別容器に移してエサを与えても排泄物等で水は汚れていきます。エサを水槽に入れて与えている場合は早く汚れていくので、水換えの頻度が多くする必要があるかもしれません。
毎日クラゲ鑑賞をしていれば、水槽の異変にもすぐ気づくと思います。水槽の水が濁ってきたと思ったら早めに水を変えてあげましょう。

①新しい水を作る
カルキ抜きした水に海水の素を入れ、新しい人工海水を作る。
人工海水は頻繁に使うので、ある程度はペットボトル等に作り置きして置くと便利。(作り置きしても良いが、長時間経つと悪くなるので作りすぎには要注意)
②クラゲを取り出して別の容器で待機させる
先に移す容器に水槽の水を入れ、クラゲは1匹ずつおたまやボウル等で優しく丁寧かつ素早く移動させる。
クラゲを傷つけたり気泡が入ったりしないように要注意。
別容器に入れている間にエサを食べていてもらえるので、エサのタイミングで水替えをするのがおすすめ!
③水槽の水を少し残して捨てる
水槽内の水は、別の容器に入れて1/3~半分程度残しておく。
残りの水が入ったまま水槽の内側にヌメリがあれば軽くこすってきれいにしてから捨てると良い。
④水槽に新しい水を入れる
残しておいた古い水を入れ、新しい水も入れる。
勢いよく流し込むと気泡が入りやすいので、ゆっくりと流し込む。
塩分濃度や水温をよくチェックし、調整する。
⑤別容器のクラゲに新しい水を入れて慣らす
移しておいたクラゲの別容器に、入っている水の半分程度新しい水を足し入れて10分程度おく。
⑥クラゲを水槽に戻す
おたま等で優しくすくって水槽に戻す。
戻した後はクラゲの様子をよく観察して元気かどうかチェックしましょう。

水換えの頻度は、水槽の大きさやエサの与え方等の汚れによって異なります。エサは別容器で与え、大きい水槽で水がたっぷり入っていれば、汚れるペースは遅くなるので、水換えのスパンも長くしても良いでしょう。
毎日水換えをした方が良いという意見もあるほど、とにかく、水が汚れていない状態を保つことが大切です。水の汚れ具合で変えるべき時を判断しましょう。

水槽の掃除

クラゲ水槽の掃除は、月に1回程度行います。水換えと同じような手順で、新しい水を入れる前に、掃除をします。
洗うための水は、水槽に入っていた水を使います。水槽に水を入れたまま、水槽内の表面に傷がつかないよう、刷毛やスポンジ等の柔らかい素材を使って汚れを落としましょう。
ろ過機やヒーター等の部品は、掃除をする前に取り除き、水槽に入っていた水を別の容器に移しておいてその水で洗います。ろ過装置にはバクテリアがついていて、きれいに洗い流してしまうと逆に良くありません。飼育水で優しく洗いましょう。

クラゲ水槽の水替え、掃除の参考動画

クラゲ飼育にはまるかも

日々のストレスを和らげる効果のあるクラゲ鑑賞、クラゲをペットにできたら毎日癒されそうですよね。本格的にクラゲを飼育したいとなると難易度が高いですが、自宅で飼うのは不可能ではありません。最近は、初心者でもクラゲ飼育を始めやすいように、飼育セット等も販売されています。生き物を飼う自信がなければ、ほとんど手間のかからない人工クラゲでも癒しを得られそうです。
熱帯魚等と同じように、どんな方法が良いのか自分で研究していくのがクラゲを飼う楽しみでもあります。飼ってみると、クラゲの神秘的な魅力に憑りつかれしまかもしれません。