ペットを家族として迎える方法は、ペットショップやブリーダーから購入するだけではありません。里親になるという選択肢があります。迷子になって帰ることができなくなったり、捨てられてしまったり、他にも様々な理由で新しい家族を必要としているペットがたくさんいます。ペットの譲渡の仕組みを知って、ペットの里親について考えてみませんか。
ペットの譲渡・里親について
仕事の都合や家族の死等で飼い主が飼うことができなくなったり投げ出したりしたペットや、迷子になって帰ることができなくなったペット等、行き場をなくしたペットがたくさんいます。そんなペットたちは、保健所やその他の行政機関、民間団体等で保護され、新たな家族が現れるのを待っています。そこで、きちんとした手順を踏むことで、ペットは譲渡されますが、行政機関では一定期間内に引き取り手がなければ殺処分されてしまいます。里親になるには、ある程度厳しい条件や資格が必要となるところもあり、簡単なことではありませんが、ペットの命を救うことができます。
ペットの里親になるメリット
ペットの里親になるということは、生き物の命を救うことです。自分ばかりではなく、間もなく命が尽きていたかもしれないペットも、生きて幸せにすることができます。
- 尊い命を救うことができる
- 民間団体では飼い主が見つかるまで保護し続けるというところも多いですが、保健所等では保護期間には限界があります。一定期間内に新たな家族が見つからない場合、保護されたペットは殺処分されてしまいます。そうなる前に、里親になることでペットの命を救うことができます。
- 性格テストや疾病検査等をしている
- 保護されている機関にもよりますが、保護されたペットは性格テストや疾病検査、予防接種等が済んでいる場合もあります。性格やどんな病気を持っているか等がわかっているので安心です。これからどのように接していくべきか覚悟ができます。
- 高額な購入費用がかからない
- ペットショップやブリーダーから購入する場合、ペットの種類にもよりますが、ある程度高額な費用がかかります。しかし、譲渡の場合、無償もしくは保護期間に行った予防接種代や諸費用のみの請求になります。そのため、ペットを迎える費用を抑えることができるでしょう。
ただし、お金がなくてもペットを飼えるという意味ではありません。里親になるには金銭面でも審査をする場合もあります。お金がなければペットの面倒見ることはできないので、ペットの一生においてはある程度のお金が必要です。 - 大人になっているペットは、将来どんな風に育つのかという不安がない
- 保護されているペットは捨てられたペットばかりではありません。老齢の飼い主が死んで行き場をなくしたり、海外転勤やアレルギー発症等でどうしても一緒に暮らせなくなったり、大切にされてきたペットもいます。赤ちゃんの内に手放す場合もありますが、大人になったペットの場合、性格や体格がすでに分かっています。年を取れば性格が落ち着くことが多く、特に犬であれば、しつけがきちんとされていると一緒に暮らしやすいでしょう。
- お試し飼育ができる
- 民間の保護団体などでは、お試しでペットを連れ帰って数日一緒に暮らすことができる場合もあります。ペットの性格や特徴を知って、相性や最後まで面倒を見ることができるかを確認するためです。せっかく里親になっても、またミスマッチで帰って来ることを防ぎます。
ペットの里親になるデメリット
里親としてペットを迎える場合、ペットショップ等で健康で保証付きのペットを購入するのとは違います。生きものの命を預かるということは、どんな形であれ覚悟が必要です。しかし、保護されたペットの中には、持病がある等の何らかのネガティブな理由で見捨てられたペットもいます。里親になるということは、最初から分かっているリスクを受け入れた上での覚悟が必要になることもあるのです。
- 譲渡条件はある程度厳しい
- 保護団体・機関にもよりますが、たいていの場合、里親になるにはある程度厳しい譲渡の条件があります。更に、面接を受けたり、証明書等の書類を提出したり、事前講習に参加したりする必要もあります。ペットショップやブリーダーのように、あったその日に連れて帰るというわけにはいかないでしょう。
また、暮らし始めてからもやらなければならないことがあります。例えば、猫であれば避妊手術が必須というところが多いでしょう。他にも、定期的な訪問があったり記録を提出したり、多少プライバシーに踏み込んでくる場合もあります。譲渡条件が厳しすぎる!?
民間の保護団体などでは、「ペットはペットショップで買わないで」とはいうものの、厳しい譲渡条件のところもあります。例えば、譲渡不可の条件として、単身、男性、未婚のカップル、小さい子どもがいる家庭、60歳以上、ペットの飼育経験がない、8時間以上留守にすることがある、賃貸(ペット可であっても)、部屋が狭い、固定電話無し、連絡先がフリーメール等ということが挙げられます。
ペットを思うが故の条件であり、里親に出す気持ちになれば厳しい目で新たな家族を見るのは当然です。しかし、最近では行き過ぎた保護団体がいることも問題視されています。
最初から攻撃的な態度だったり、理由を伝えることもなく突然譲渡不可と言われたり…世帯の源泉徴収票や残高証明、不動産登記、顔つき身分証等のコピーの提出、勤務先の連絡先電話確認等、まるでローンの審査並みにプライバシーをさらけ出さなければならないこともあるようです。譲渡された後でも、突然の訪問、複数人での自宅調査、フードの指定、寄付の義務、毎週の報告書提出等、常識を外れたような行動も…そういった理由から。せっかくペットと暮らすなら命を助けたいと里親希望をしている人でも、譲渡をあきらめる人も少なくないようです。
かわいそうなペットをずっと見ている側としては、最初から人を疑ってかかる態度になったり、条件が厳しくなったりするのはしょうがないことかもしれません。特に、保護されるペットいうのは、一度不幸な目に遭った場合がほとんどです。お互いにペットの命を救いたいと思っているのに、すれ違うのは残念なことですよね。 ペットを飼う人の中には、命を救いたいという志の人だけではありません。ただペットと一緒に暮らしたいと考えている人も多いです。ペットショップやブリーダー等のお金を出せばすぐに手に入り、家に迎えた後も何の制約のないペットの方が楽だと思うのは当然ですよね。その手軽さゆえにペットを簡単に手放すことが問題になっていますが、譲渡条件を緩くすると、無償譲渡されるペットを悪用しようとする人もいる…とても難しい問題です。
ペットの譲渡を行っている団体・機関はたくさんあります。もし、最初のところがだめでも、次のところでは気持ちよく譲渡されるかもしれません。せっかく保護されたペットを迎えようと考えているなら、諦めずに、救える命を探してみませんか? - 癖や習慣、個性等のペットの特徴が出来上がっているので馴れるまでに時間がかかる
- すでに前の家族で作られた習慣や癖があったり、しつけがされていなかったり、性格も様々です。もとから人懐っこい性格のペットもいますが、新たな家や人に馴れるまでに時間がかかります。育っていく過程で一緒にいれば何ともないことでも、ペットも新たな生活に困惑してしまいますよね。しつけ直したり、新たな習慣に慣れたり、長丁場になる可能性があるでしょう。
特に、保護されたペットは、不幸な暮らしをしてきた場合も少なくありません。飼い主に虐待されたりあまりかまってもらえなかったりするペットは、人間を恐れたり攻撃的になったりする場合もあります。この警戒心を解きほぐし人間への信頼を取り戻すには、思っているより長い時間がかかるでしょう。本当に心を失くしたペットを癒すのは簡単なことではありません。時間と愛情をかけてじっくりペットと向き合っていく必要があります。 - 健康ではないペットもいる
- 保護されているペットは必ずしも健康であるとは限りません。身体的・精神的に傷を負ったペットを保護する場合もあるでしょう。病気だから、年で介護が必要だから等という身勝手な理由で捨てられた場合もあります。
もしかしたら年齢や持病等で一緒にいる時間は短いかもしれませんが、そんなペットたちであるからこそ、適切な治療やケアをしてくれる新しい家族を求めています。
ペットを買う前に、里親も視野に入れてみませんか
ペットとの出会いはペットショップやブリーダーで購入するだけではありません。行き場のないペットを救うことができる里親という選択もあります。譲渡されるペットは犬や猫に限らず、小動物や魚等も新しい家族を探しています。
譲渡には条件もあり、不安に思うこともあるかもしれませんが、少しでも興味が沸いたらぜひ里親情報を提供している各団体、各機関を尋ねてみてください。